受精卵と、普通の人間からとった1細胞。
遺伝情報的には、どちらもまったく差のない、
細胞一個
です。
細胞は、分裂して増えます。
で、上記2つを実験室で分裂させていくと、
どうなるでしょうか。

普通の細胞は、ある程度まで分裂するのですが、
一定の数までいくと、分裂がとまってしまいます。
一方受精卵は、いくらでもいつまでも分裂し続け、
最後は人間になります。
いえ、実験室だから、そこまではしないのですが
ようするに、普通の細胞みたいに分裂が止まってしまわないのです。

どうしてでしょう。

実は、この理由は、まだハッキリとはわかってないらしいのです。
受精卵が分裂してひとつのいきものになる、なんて、
ものすごく当たり前のことのように思えるわけですが、
実はそうでもなかったりするのです。
ふつうの細胞と受精卵、なにが違うのか。
ふつうの細胞は、細胞なんだから、どうやってできたかっていうと、
その前の細胞が分裂してできたのです。
だから、受精卵と違うとすれば、それは、
前者は「その前」が一個のなにかだけれど、
後者は、「その前」が、2種類のなにかからできた、
ということだけ、なんですね。

例えば、都市や文明も、そういうふうにしてできた、という説があります。
いくつかの種族や文化が混じり合ったところに、
なにかが生まれ、増殖し、巨大化したり複雑化したりする可能性が生まれる。
異質なモノがめぐりあったとき、そこにエネルギーと動きが生まれる。
それが文明であり、都市である、というのです。

実は、上記はみんな、双子座とふかーい関わりがあるのです。
双子座の神様は、マーキュリー、ヘルメスです。
この神様は、商業の神様とも泥棒の神様ともいわれています。
とにかくどこかからなにかをとってきてどこかへ運ぶ
ということを取り扱っているのです。
ヘルメスの足には、ある特殊な靴が装着されています。
それは、翼の生えた靴です。
彼は、歩いたり車に乗ったりしないのです。
風をとらえ、風に乗って、ここからあそこへ、あそこからここへ、
縦横にとびまわります。
その土地土地の、意味や価値を携えて、です。

双子座は一般に、
好奇心が強く、コミュニケーションが得意で、
旅行がすきで、ユーモアがあって、
などといわれています。
ある意味、それらはみんな、
最初に書いたような、ある「しくみ」に根ざしている、とも思えます。
みんながひとの考えていることを解っていたら、
言葉は必要ありません。
みんな同じ文化を持っていたら、
どこの土地も似たような風景だったら、
人は旅行も交易もしないでしょう。
自分と違ったもの。ここではない、どこか。
双子座が望んでいることは、
決して浮薄な無い物ねだりではないのです。
新しくて珍しい、慣れた自分自身以外の何かを求めるのは、
いのちのしくみの根元に隠された動機です。

双子座は、自分にとってめずらしい、新しい物事を好みます。
素直で、明るい、開放的な心を持っています。
ひとのハナシをよくきき、
そのなかから何らかの価値を探し出そうとします。
他の星座だと、自分にとって直接面白くなければ、
フン
と鼻であしらっちゃう様なときでも、
いやいやそれは、考えようによっては、シチュエーションによっては、
すごく価値があるとおもう。
と、非常に柔軟に捉えます。
判断の支点をさまざまに変えれば、
同じものでも全く違った魅力を持つことがあるのを知っているのです。
また、それを楽しみ、楽しんだことを、
まだそれを知らない人に伝える方法を知っています。
違うモノ同士をつなげるための橋を架けるのがうまいのです。
こちらの人にこういう意味があることが、
向こう側の人にどんな価値があるのか、知っています。
この町ではしょうゆはありふれた安い品物だけど、
山を越えた隣町に行けばそれが非常に高価なシロモノかもしれない、ということを知っています。
だから、双子座の人と話をすると、気分が良くなることが多いのです。
彼らは、頭から何かを否定することはほとんどありません。
いつもなにかしら、良いところを探してくれるのです。

ここからどこかへ行くとき、ヘルメスは、翼のついた靴で移動します。
翼で飛ぶということは、風に乗って移動するんですね。
双子座も、そういうところがあります。
一見自分で主体的に動いているように見えるのですが、
実は、風を読んで、風に乗って動いているのです。
だから、いつも、とても不安なのです。
風が弱まれば、なにもない砂漠に墜落してしまうのではないかと怯え、
風が強まれば、
目的地じゃないところまで飛んでいってしまうんじゃないかと怯えます。
それに、ここからあそこへ、あそこからここへ、というのは、
それほど決まったマップではありません。
違ったモノ同士の接触
をつねに求めているのですから、
その移動の経路は、それらの位置や距離に依存してしまいます。
要するに、
自分だけの絶対的な価値観で動いてゆけるならいいのですが、
双子座はそうではなくて、
常に相対的な価値の中で揺れ動いているわけです。
これは、とても不安定で、辛いことです。
状況が変化すれば動揺し、翻弄されますし、
変化が止まってしまうと、これはもっともシンドイ状態になります。
自分が生きている意味を見失ってしまうのです。
それに、違ったもの同士の間に橋を架けるためには、
両者を良く理解しなければなりません。
理解するために、双子座は、幼い子供みたいにピュアなきもちで、
こころをあけっぱなしにしてしまいます。
これも、生き馬の目を抜くようなせちがらい大人の世界では、
かなり危険な行為です。
ヘタをすると、深く傷ついてしまいます。
双子座のきらきらした特異な才能、
その人自身にとっては、実は諸刃の剣なのです。

物理的に移動するのがスキかどうかは別として、
双子座の心はつねに弾力に満ちていて、いつまでも若々しさを保ちます。
あくどい世間知には支配されず、
きれいなものを見ればぱっと反応し、悲しいことを聞けば涙をこぼします。
死人の一番の特徴は、
「刺激しても反応しない」
ということですが、
そこから一番遠いのが、双子座、という感じがします。
感情表現が上手で、いつも目を輝かせて、
すきなことをいろんな言い方で話してくれます。
だから、周囲の人間は、この人は本当に楽しそうだな、
とおもいます。
しかし。
実は、そうでもないときも、あるんです。

双子座は、上記のごとく、
人に物事を伝えたい、というキモチがとても強い星座です。
では、人はどういうとき、こちらの言いたいことを一番うまく受け取ってくれるでしょうか。
それは、相手がこちらに好意を持って、気を許しているときです。
好意を持って気を許すのはどういうときか。
一般に、自分の言うことを理解し同意してくれる相手に、人は気を許します。
相手が善人かどうかとか、うそつきかどうかとかも確かに重要なんですが、
実は、いちばんクリティカルなのは、仲間として同じ価値観を共有しているかどうか、
そう思ってくれるかどうか、が、気を許すときの最優先事項です。
双子座は先天的にそれを知っているので、
まず相手に「仲間だ」と認めてもらえるよう、
最大の努力をします。
仲間まで行かなくても、悪意がないし、そのひとの価値観を共有しているよ!
というのを、アピールします。
そして、自分の伝えたいことを受け入れてもらいやすくするわけです。
だから双子座は、相手にあわせます。
ときに、ものすごく演技をします。
自分自身を見失うくらい徹底的に、相手の望むような姿勢をとるのです。
人付き合いは、上手です。
みんなに好かれます。
でも、笑顔の下に孤独の涙をいっぱいにためている双子座の人も、
決して、少なくないのです。
相手に「気が合うよね!」といわせるためにものすごい努力をした結果、
本当の自分を相手に解ってもらうことができなくなってしまうのです。
実は気が合うどころではないのです。
こちらが身をすり減らして、相手に合わせてあげていたのです。
にこやかにもりあがった帰りの電車、
途中まで同道した上司が彼の最寄り駅で降りると、
ひとり残された双子座はふっと肩をおとし、
辛いキモチで外をみたりするのです。
こんなにがんばって相手を気持ちよくしてあげても、
自分の気持ちを誰が解ってくれるわけでもない。
こういう時の双子座は、ほんとうにしんどくなっています。

さらに。
双子座は物事のいろいろな側面に敏感に反応しますが、
その反応が、とても素早いのです。
みてとって、すぐに発信したい、とおもうところがあります。
だから、時々、
「すぐに白黒つけないと気が済まない人」になってしまうことがあります。
どう思っているか、どう感じたか。
いいのか、悪いのか。
大丈夫なのか、ダメなのか。
愛しているのか、嫌いなのか。
中間であいまい、という状態が、
スピーディーな双子座には、受け入れられないことがあるのです。
あの軽やかで敏捷な感性を持つ双子座のことを考えると、
こういう「余裕のなさ」はちょっと意外な感じもあります。
でも、考えてみれば当たり前なのかもしれません。
双子座の守護する商人や貿易商が、
その価格設定や価値の判断について、
「うーん、価値、あるような、ないような、、」
などとあいまいなことをつぶやいてまごまごしているわけには、いきません。
単純明快、あるかないか、とにかくきめてしまえ。
そういう紋切り型な面が、双子座の表面にでてきてしまうことが、ままあります。
この性質がでてくると、双子座自身も、周りの人も、
あくせくせかされるような、ちょっと辛い思いを強いられてしまうかもしれません。

双子座の、弾むような感性と、
つねに自分と違うものから魅力を引き出す才能、
そしてそれを誰かに発信する才能は、ほんとうにすばらしいのです。
わかわかしく、おちゃめで、きらきらしています。
その動力のしくみからくる不安定さを制御できたら、
みんなもっとシアワセなのかな、ともおもえます。
でも、不安定だから、いつも新鮮なんだろうな、とも思います。
安定しちゃったら、ほこりがつもります。
だから、私は、双子座には、こんな風に言いたいのかもしれません。

風向きが変わっても、風が止んでも、
それは永久にそのまま、ではないのです。
いつも変わり続けるし、どこにでも新しい何かがあります。
不安を絶望と取り違えてはいけません。
空を飛びながら地面を見下ろせば不安になりますが、
不安のあまり地面に降りてはいけません。
疲れたら、雲の上でひとやすみ。
貴方が前を見れば、空を見れば、
いつも風や星や、そんな、
「動き」を告げる何かを見つけられるはずです。

と。

by 占い/石井ゆかり

by イラスト/酒井景都