乙女座、
リクツっぽくて分析屋で頭でっかち
というイメージを持たれることが多いようです。
皮肉屋でいつも批判ばかりしてる
と思われていることもしばしばかもしれません。
なぜそう思われるかというと、
そう言うヤツはたいてい、
乙女座に痛いことを言われた経験があるからです。
痛いこと、というのは、
単に「厳しいこと」という意味ではありません。
アイスクリームとメープルシロップのかかったアップルパイのごとく甘い言葉でも、
受け取り側によっては、悶絶の痛みをともなう場合もあります。
痛い言葉、それは、真実を指した言葉なのです。
乙女座は、真実を見抜いて、
それで、わりと無防備にそれを口にしたり、態度に現したりします。
賢いんだから、自分を守るためにも、もうちょっと手加減すればいいのに
と思うのですが、乙女座の人にはそれができません。
なぜなら、頭脳の星座であると同時に、
乙女座は、感性の星座でもあるからです。

人間は、「感じたこと」には逆らえません。
考えたことにはわりと逆らえるのですが、
身体で感じ取ったことには、抵抗不能です。
いろんな「依存症」がありますが、
あれはみんな、身体が勝手に覚えてしまうわけです。
「あたまで解ってても身体が、、、」ということです。

乙女座の場合は、そのあたりが少々複雑です。
なぜなら、乙女座は、
アタマがカラダだからです。
考えることと知覚することが、非常に密接なのです。
というか、ほとんど同じなのです。
どういうしくみかわからないのですが、
感じたことと考えることが、直通につながっている感じがします。
乙女座の例として、よく野茂英雄を出しますが、
あのひとは乙女座に星がばーっとあつまっていて、わかりやすいのです。
彼はスポーツ選手です。
アタマで考えることとカラダでキャッチしているセンス、つまり感覚が、
すごく密接につながっているのです。
これが逆流すると、
気持ちの問題がすぐカラダの異常になる、ということにもなります。
乙女座の「分析」は、テクニカルな感じがしません。
脊髄反射でやっているような、舐めてみて判断しているような、
ある意味、なまなましいところがあるのです。
なまなましい。
そして、高性能。
そんな分析メカに何か言われたら、誰だって腹が立ちます。
メカ
といっては失礼なようですが、
どうしてメカかというと、
メカ?とおもうほど
小手先の技が使えないからです。

人の一生と12星座の並びをなぞらえる考え方があります。
まず、牡羊座は、生まれたばかりです。
生きる力に満ちていますが、周囲のことは余りよく把握できていません。
みずみずしいイノセントなパワーで世界に一歩踏み出す星座です。
次、牡牛座は、五感を使って世界を把握する段階です。
触れた感じ、味わった感じ、そういう「己の感性」で世界と関わります。
そのうち、ココまで行ける、ここまで行っても大丈夫、って世界が広がる中で、
ちょっと考えることが出てきます。
あれ?
これは一体どういうことだろう、と、
立ち止まる事が出てくる。意味や関連を問い始める。
周囲とやりとりをはじめる。
これは双子座のフェーズです。
で、先ず生まれ、呼吸し、感覚で周囲を確認し、やりとりで「他者」の存在を
なんとなくわかりはじめたところで、
ひとつの「世界」ができあがります。
世界は広そうだが、とりあえず自分が生きていくためには、
こんな感じでやっていくぞ、という世界を、自分の中でととのえる。
これが蟹座の段階になります。
そうして生きていくための足場が固まると、
人は、自分ということを意識しはじめるのです。
自分のいのち、自分の感覚、自分の言葉、自分の居場所をえたところで、
オレ様
ができあがります。
ここまでくると、何かを好きになるとか、楽しむとか、もできますし、
自己主張するようになってきます。
自分がココにいる、他人が周りにいる、
自分を見てくれ、こんな事もあんな事もわかるし、つくりだすぞ
これが、獅子座にあたります。
そしてつぎが、待ってましたの乙女座です。
乙女座は、この点で、双子座とよく似ています。
あれ?
と、なるのです。
オレ様、で自己主張してみる。
自分の生きていくに必要な材料は、もう整っている。
そして、元気にあれこれやりはじめた。
一見、それでいいよね、と思えるのですが、
乙女座の段階に来ると、
あれ? と立ち止まるのです。
なにかおかしい。うまくいってない感じがする。
なぜだろう。なぜなんだ。
そこで、乙女座は、いままで自分のたどってきた道筋や
相手の姿などを、もう一度まじまじと見つめ直すわけです。
そうすると、
今まで自分は「自分」が土台でも城でも世界でもあった
ということに気づくのです。
それではダメなのです。
なぜか。
乙女座は、それを執拗に問います。

天秤座に言わせれば、それは簡単な話です。
「他人がいるからだよ」
なのです。
でも、話は実はそれほど単純ではなかったりします。
だから、乙女座をすぎて射手座まで行くと、ひとはまた、新たに
あれ?
ってなります。
さらに山羊座はその射手座の
あれ?
に、「そんなのかんたんだよ」
と答えを出すのですが、
そこをすぎて魚座まで行くと、また新しく
あれ?
となります。
双子座・乙女座・射手座・魚座がみんなで
あれ?
と感づいてしまう、矛盾。

それは、自分と外界との関係なんです。

自分と他者、という問題。
アイデンティファイする
ということは、自分と他者を分ける、
その境目のなんたるかを自分なりに解釈する、ということです。
乙女座は、そのあやうい境界を発見してしまう星座です。
人間関係のあらゆるところに潜む膨大な矛盾を抽出し、
それを集積し、緻密にカテゴライズし、価値判断をし、
そのプロセスによって、
あらためて新たな外界を「発見する」星座です。

ときに、乙女座は、この能力に振り回されて、
与えられた能力の使い方とは全く逆のほうに走っていくことがあります。
乙女座は、矛盾に気づいているのです。
もう、見てしまっているのです。
だから、いざ自分が動く段になると、
その中に未発見の矛盾や誤謬、見過ごしがあるのではないかと思って、
ひどく不安になるのです。
そうすると、どうするか。
いままで見つけた矛盾の中にとじこもります。
ようするに、
新しい発見対象があるような場所には立ち入らないのです。
こわいのです。
乙女座が日々やっているのは、たとえば、地雷除去作業のようなものです。
いままで軍隊がエゴまるだしで埋め立ててきた地雷を撤去する係りなのです。
だから、すごく神経すり減らして、繊細な神経をとんがらせて、
その敏感さゆえに地雷を効率的に除去できるのですが、
新しい持ち場に着くのは、コワイのです。
あらたな地雷の性質とかわからないし、踏んだら死ぬかもしれないし、
おそろしいのです。
おそろしくなると、どうするか。
あたらしい任地にゆかずに、
既に撤去の終わっている安全な場所にずっと居着こうとするのです。
発見をやめ、耳をふさぎ、不機嫌にすわりこんでしまうのです。
繊細で、分析上手で、何でも理解できる乙女座。
でも、ときどきもの凄く頑固な皮肉屋になる乙女座。
こんなところにその不思議さの原因があるんじゃないかと思います。

乙女座が元気なときは、
素晴らしい仕事をします。
頭脳とカラダの感覚がむすびつき、
音楽的なほどのリズミカルでテクニカルな頭脳プレイを
ひょうひょうと当たり前みたいにやってのけます。
恋をすれば、相手の欲しいモノを
魔法みたいに見抜いてつぎからつぎへとテーブルに並べます。
何だって発見できるのです。そういう才能の持ち主だからです。
そして、発見したことを素早く現実にもっと合うように修正できます。
そんな繊細なセンサーゆえに、
疲れやすくもあり、もろくもある、ということは、あるんです。
これは、辛いところです。

健康マニアで分析オタクの乙女座、と言われますが、
それは、最初に書いたように、不当な中傷です。
もしくは、疲れ切った乙女座しか見たことがないからそう思うのです。
もしくは、
乙女座のその「ストレートさ」が
悪意ではなく、
天使のようなイノセンスに基づいていることが解ってないからそう思うのです。
本当に悪意のある、貴方を傷つけようとしている人は、
貴方に致命的に痛いことなんか、言いません。
そんなの面倒だし、忠告して成功されたら、いやですもん。
乙女座は、そういう勝ち負け小細工の計算ができないんです。
ただ、発見した地雷を踏まないように気遣ってくれるんです。
無私の、かわいらしい星座。
こう考えてくると、あの批判分析でとんがった星座に、なぜ
乙女座
などというなよっとした名前が付いているのか、解る気がします。
乙女はいつも、イノセントで、無防備で、繊細です。
だから、痛いことを遠慮なくずけずけくどくど言う、
神経の太いヤツに見えてしまうのです。
ほんとはそんなことはありません。
乙女座のそのひとのこころは、地雷どころか、
震度1にみたない小さな揺れさえキャッチできる、
細い細いセンサーがぷるぷるふるえているような世界なのです。

by 占い/石井ゆかり

by イラスト/酒井景都