星占いの本で山羊座のページをめくると、
忍耐とか、根性とか、慎重とか、努力とか
いろんなカタイことが書かれています。
「社会」
という、厳しい世界でなんとか自分自身をコントロールし、
ひとかどのものとしてたちあがっていこう
とする、強い姿勢が山羊座の中にあるので
こういう書き方になるのかもしれません。
確かに、山羊座の人の発想は、実際的だし、具体的です。
でも、おもしろいことに、
山羊座には芸術的な要素がゆたかに詰まっていたりします。

山羊座は、
ひとつひとつの対人関係をまとめあげて、
ひとつの全体的、有機的な
「人間関係」
のなかの自分を考えられるようになる場所です。
ひとりのオトナとして、社会でどうかがやくか。
社会的ペルソナ
などと書いたりしますが、
山羊座は、一人の人間として社会の中にあるありかたを考える、
実質的な成功系の星座という気がします。
この
実質的
というのがポイントです。
山羊座の感覚は、実にプリミティブなところがある気がするのです。
「社会」
を見ているワリには、好悪や快不快の感性が、
とても素直で、まっすぐで、繊細なのです。
A型という血液型は、
日本の社会では、
「細かいことを気にする、気を遣う人」
というイメージがありますが
そこには、ある種の感覚的繊細さと、
それについての頑固さのイメージもつきまとっています。
山羊座には、どうもそういうところがあるのです。
だから、「社会的」成功がテーマ
というわりに、芸術的な適性も出てくるのです。
山羊座のアーティストが生み出す作品には
独特の、生き物としてのなまなましいニオイが染みこんでいます。
生き生きとそこに躍動する命そのものが
作品からにじみ出ているのです。

山羊座の目的意識は強烈です。
世界があり、他者がいる。
そこで、自分はどのように生きていくか。
世界は、このようである。
その根元には、自分という存在がある。
この得体の知れない外側の世界の中で、
自分もできるだけ高い場所まで登り切り、生き抜き、勝ち上がってみせる。
これが山羊座の衝動です。
そのためにはどうしたらいいか、ということも、
山羊座の中では相当、明確です。
つまり、履歴をたぐるのです。
人の有様を見、どうしたら成功できるかをつくりあげる。
それは、まねではないのです。
自力で、周囲に見える現実的成功例から自分の「勝ちパターン」を作り上げるのです。
そのためには、利用できるモノはなんでも利用します。
伝統とか、古風なものとかは、
社会においてある現実的なパワーを持っているので、
そういうモノを土台にして生きるかたちをつくりあげることが多いようです。

山羊座は、時間の神・クロノスに象徴される土星に守られている
とされています。
じっくり時間をかけて積み上げることが得意な星座です。
同じことを延々続けるのが苦にならない人も多いようです。
なにか実質的なことが為し遂げられるには時間がかかることを、
山羊座の人はよく知っているのです。
といっても、もたもたしているわけではありません。
むしろだれよりもすぱんとした決断力がありますが、
そのあと、ずっとその決断に従える根性を、
山羊座の人は持っているのです。

山羊座にとってもっとも重要なのは、
自分が生きていることを肯定するチカラかもしれません。
自分の外側に広がる世界を理解し、
その中で勝ち上がろうとするとき、
人は他人からの評価を必要以上に気にしなければならなくなります。
勝ちたいと思う反面、
負けることを死ぬほど怖がったりすることもあります。
「勝っている状態」を意識しつづけたいあまり、
人を攻撃することで安心しようとしたり、
人に絶対に意見されないような状態をつくろうとしたり、
完全主義や不自然な孤立に陥りやすいキケンもあります。
また、徹底的に周囲の目の中で自信をうしない、
ものすごくシニカルになってしまうこともあります。
できないから、やらない
となったときの山羊座のネガティブパワーは、相当怖いです。
徹底しているからです。

自分のことを正当に肯定できれば、
そういうキケン地帯からは抜け出せます。
山羊座はどんなに自己批判の強い人でも、
ものすごくプライドが高いのです。
でも、プライドをなにで作るべきか、を勘違いしてしまうと、
ぜんぜん幸福になれなくなってしまいます。
成果主義、完璧主義を抜け出して、
どう「人間」としてあるか。
これが、山羊座危険地帯の回避の鍵をにぎっているのかもしれません。

山羊座は、よくイメージされるような、
自己抑制力にすぐれた四角四面な実利主義者、
ではありません。
その体の中にあふれる生命力について、
ある種、非常に正直な星座だとおもいます。
正直
というのはどういうことかというと、
この眼前に具体的に広がっている世界に対して、
自分が自然に抱く衝動にまっすぐであるということです。
安心して生活したいのです。
誰よりもいい生活がしたいのです。
自分の力をこの人間たちの前で発揮してみたいのです。
みんなに認められたいのです。
受け入れられ、エライといわれ、
この世界を動かすルールを、自分が正しいと思えるような形に、
再編成してみたいのです。
自分の心の中だけとか、家の中でだけとかじゃなく、
正々堂々、外向きに自分を存在させ、認めさせたい。
この気持ちは、
山羊座の生き方の中で、それはとてもストレートに位置づけられています。
成功したいとか、金を儲けたいとか、
ほかの星座にとっては、おもはゆいのです。
そんなことできないだろうとか、意味がないだろうとか、
違う誰かに依存した方がラクだとか、
邪念がいっぱいわいてきます。
でも、山羊座は、そういう邪念にごまかされないのです。
自分がせっかく生まれてきたのだから、
どうにかしてこの人生を、社会の中にどーんと位置づけてみたい。
山羊座の「夢」は、「実現」と、
しっかりした階段で接続されています。
山羊座の願う幸せのかたちは、ですから、きっとかなうことになります。
山羊座の優れた肉体感覚と現実認識に基づく肉厚なクリエイティビティは、
説得力のある発信手段をかならず発見し、確実に顕在化します。
他人をモノ扱いしない限りにおいては、
山羊座の願いは、
必ずかなう
と言い切って差し支えないとおもいます。

by 占い/石井ゆかり

by イラスト/酒井景都